[Measurement of serum angiotensin-converting enzyme in pneumoconiosis--comparison of Kasahara's method with Cushman's modified method].

血清ア ンギオテ ンシン変換酵素(SACE)は,サ ルコイ ドーシスの診断に有用な検査法 として知 られるが,け い 肺や石綿肺などの じん肺症でも活性が上昇す ることが明 らか となってい る1~4).従来SACEの 測定には, Cush manら の方法5)を 基準 とした変法(Cushman変 法)が 用 いられているが,そ の手法は比較的煩雑であ り,こ れ が職域健診への応用を妨げる一要因でもある.最 近,測 定用キ ットな用 いた笠原 らの方法6)(笠 原 法)が 開発 さ れた.そ こで我々は,じ ん肺者を対象として,両 法の有 用性を比較検討 した 研究方法 健常成人男子(対 照群)79名 お よび窯業 じん肺有所見 者(じ ん肺群)157名(男 子: 138名,女 子: 19名, PR1: 25名, PR2: 61名, PR3: 24名, PR4: 47名) を対象 としてSACEを 測定 した.測 定方法は,笠 原法 としては, 「ACEカ ラー」(富士 レビオ製)法 を, Cush man変 法 としては,山 本 らの方法7)を 用いた,じ ん肺 のX線 病型分類は,じ ん肺法に従 った. 成績および考察 1)再 現性の比較:標 準血清のSACE活 性を34回(2 回/日, 17日 間)測 定 した結果,変 動係数は,笠 原法で 4.8%, Cushman変 法が4.6%と 両法の間に差はなか った.こ の成績は手技の向上安定が あ れ ば, Cushman 変法 の再現性は低 くない とす る最 近 の 報 告8)と 合致す る. 2)測 定所要時間の比較:ゼ ロタイム測定 および ロス タイムを除 く1検 体 当 りの測定所要時間は, Cushman 変法 の78分30秒 に対 し,笠 原法では26分 と約1/3に 短縮 された.し たがって,多 数の検体処理を要する集団 健診では,笠 原法がよ り有用であることが確認 された. Fig. 1. Correlation between SACE activities by Kasahara's method and Cushman's modified method in controls.